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長編:「腐りゆくもの(仮題)」

―冬虫夏草―

皆の足取りは重かった。
全員が無言で歩き続けるしかなかった。
出口がとこかにあると信じて・・・。

「何だこれ?」
未だに先頭を歩いていた翔汰が声を立ち止まった。
翔汰が照らし出すその先には木に止まった蝉の幼虫がいた。
蝉は夏の夜に幼虫から成虫に脱皮をとげるため別段珍しいものではないはずだった。
だがその蝉の幼虫は異常だった。
確かに幼虫の背中は割れ、中身が外に飛び出していた。
ただ飛び出していたものが脱皮したての蝉の成虫ではなく薄い紫色の棒状の物体だった。
「冬虫夏草か・・・?」
田崎がそれを観察して言った。
冬虫夏草とは蝉などの幼虫が地中の中で冬を越す昆虫に見られ、冬の間は虫であるがその冬の内に菌などに侵され
夏になる頃には体が植物に乗っ取られることをさす。
漢方薬などでは重宝されていてしばしば高値で取引されているらしい。
「冬虫夏草は基本的に地中で起こるはずだ、だがなぜそれが地上で起きている・・・?」
田崎は首を傾げた。
「そんなのどうでもいいじゃない、早くここから出よう。」
涼が田崎の服を引っ張り歩かせようとした。
田崎はそうだなと言い列に戻った。
皆が過ぎ去った後、蝉の幼虫から飛び出た紫の物体が地面に落ちた。
そしてそれはまるで尺取虫のようにぐにぐにと動き、暗い森の中へと消えていった。

未だに森は暗く、五本の光の筋のみが唯一の明かりだった。
木々の表皮は更にその黒さを増して行き、それにつく蝉の抜け殻も多くなっていた。
「そういえばさ、ここに来てから一度も蝉の鳴き声を聞いてないよな?」
陸が疑問を語った。
確かに蝉の鳴き声は聞いていない、夜のため全ての蝉が眠ってしまったのだろうか?
だがそれでいても傍を人が通れば少しは騒ぎ立てたりするはずである、通り過ぎる全てといっても良いほどの数の木に蝉の抜け殻がついているのにもかかわらず
その中身の蝉の姿を未だに確認できていなかった。
「ああ、眠っているんだろうよ蝉だって寝るだろう。」
翔汰がぶっきら棒に答えるがその脳裏に先程見た紫の物体がちらついていた。
バシャッ。
遥か前方で泥の跳ねる音が上がった。
皆その音に気づき足を止めた。
「何・・・今の音?」
光が聞いたが皆押し黙ったままだった。
翔汰が黙ったまま再び歩き出した。
泥の跳ねる音は一定のリズムであがるのではなくただ乱雑にまるで魚が浅瀬でもがくようにあがっていた。
やがてその音の正体が翔汰の懐中電灯によって照らし出された。
| メイプル | 23:59 | comments(1) | - | pookmark |

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2009/08/31 7:59 PM, from 天










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